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スマート農業~目指すべき未来社会Society5.0と、完全自律走行を目指すトラクター

2020年11月10日
農業分野では、担い手の減少・高齢化の進行等により労働力不足が深刻な問題で、トラクターの操作などは熟練者でなければできない作業が多く、若者や女性の参入の妨げとなっていることから、政府は先端技術を活用したスマート農業を推進しています。作業の効率化や生産性の向上を図るスマート農業とは、ロボット、AI、IoTなど先端技術を活用する農業のことで、農業分野におけるSociety5.0の実現にもつながるものです。

シリーズ4回目となる今回は「農業分野におけるSociety5.0」と、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のスマートバイオ産業・農業基盤技術において完全自律走行を目指す「自動走行トラクター」を特集します!

政府が「目指すべき未来社会」として提唱する「Society5.0」

自然と共生し、狩猟や採集をしてきた狩猟社会
Society1.0
農耕を中心とした集団を形成し、社会基盤を形成した農耕社会
Society2.0
工業化で大量生産が可能となった工業社会
Society3.0
インターネットの普及によって世界がネットワーク化された情報社会
Society4.0
そして、政府により「超スマート社会」として新たに「Society5.0」が提唱されました。

Society5.0とは、IoTによりサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合し、すべての物や情報、人を一つにつなぐとともに、AI等の活用により量と質の全体最適をはかる社会のことです。
IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服します。また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。

社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となります。

生産現場の課題を先端技術で解決する!農業分野におけるSociety5.0

Society5.0の農業分野の中に、「超省力・高生産なスマート農業」が掲げられています。農業従事者の平均年齢が高い日本では、農業分野での新しいテクノロジーの開発し、ロボット・機械化を進める必要があります。その新しいテクノロジーのひとつが、今回の特集テーマでもある「自動走行トラクター」です。
Society 5.0では、気象情報、農作物の生育情報、市場情報、食のトレンド・ニーズといった様々な情報を含むビッグデータをAIで解析することにより、「ロボットトラクタなどによる農作業の自動化・省力化、ドローンなどによる生育情報の自動収集、天候予測や河川情報に基づく水管理の自動化・最適化などによる超省力・高生産なスマート農業を実現すること」「ニーズに合わせた収穫量の設定、天候予測などに併せた最適な作業計画、経験やノウハウの共有、販売先の拡大などを通じた営農計画の策定すること」「消費者が欲しい農作物を欲しい時に入手が可能になること」「自動配送車などにより欲しい消費者に欲しい時に農産物を配送すること」といったことができるようになるとともに、社会全体としても食料の増産や安定供給、農産地での人手不足問題の解決、食料のロス軽減や消費を活性化することが可能となるとしています。

スマート農業が解決する課題とは

農業従事者の高齢化の進行がしていることは、農林水産省が5年ごとに農林業を営んでいるすべての農家、林家や法人を対象に調査を実施する「農林業センサス」で報告されています。2015年の農林業センサスから農業就業人口の年齢構成を見てみると、65歳以上が全体の63.5%を占め、50歳未満はわずか12%でした。

さらに、1995年には1経営当たりの平均経営耕地面積は1.6haだったものが、2015年には2.5haと着実に拡大し、体力的な負担が増している実態もわかっています。高齢化に歯止めをかけるには若い働き手を見つけることが必要ですが、トラクターなどの農業機械の操作は誰もがすぐに出来るものではありません。

そこで、最先端技術を駆使する「スマート農業」を普及させて、若者や女性が農業にチャレンジしやすく、高齢の農業従事者の生産効率を高められるようにしようとしているのです。「自動走行トラクター」のように農業従事者の体力的な負担を軽減しながら、1人当たり作業面積の限界を打破する技術革新が必要とされている背景には、日本が抱える農業分野の課題があったんですね。

スマート農業が実現されると期待される効果

農業データ連携基盤(WAGRI*)をベースとして、以下のような効果があると期待されています。

① 作業の自動化:ロボットトラクタ、スマホで操作する水田の水管理システムなどの活用により、作業を自動化し人手を省くことが可能に
② 情報共有の簡易化:位置情報と連動した経営管理アプリの活用により、作業の記録をデジタル化・自動化し、熟練者でなくても生産活動の主体になることが可能に
③ データの活用:ドローン・衛星によるセンシングデータや気象データのAI解析により、農作物の生育や病虫害を予測し、高度な農業経営が可能に

* 農業データ連携基盤:スマート農業をデータ面から支えるプラットフォーム。生産から加工・流通・消費・輸出に至るデータを連携。内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマートバイオ産業・農業基盤技術」において、WAGRIの機能を拡張したスマートフードチェーンシステムを開発中。

内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のスマートバイオ産業・農業基盤技術とは

内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)は、科学技術イノベーション総合戦略及び日本再興戦略(平成25年6月閣議決定)に基づいて創設されました。SIPは、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が司令塔機能を発揮し、社会的に不可欠で日本の経済・産業競争力にとって重要な課題を選定し、基礎研究から実用化・事業化まで一気通貫で研究開発を推進し、府省・旧来分野の枠を超えて科学技術イノベーションを実現を目指すプログラムです。

2014年から始まったSIP第1期は2019年3月末に終了し、現在はSIP第2期として、12の課題に取り組んでいます。

農業分野は、第1期では「スマート農業」と「農林水産物の高付加価値化」という課題に取り組んでいました。第2期では「スマートバイオ産業・農業基盤技術」の中で、農業のサステナビリティとして以下の個別開発技術展開を図っています。

  • 少人数オペレーションによる生産性の向上
  • 環境負荷の低減
  • 新規就農者の増加

自動走行トラクターは、2020年に完全自律走行する!?

「少人数オペレーションによる生産性の向上」につながる技術開発のひとつが、自動走行トラクターです。

農林水産省が設置した「スマート農業の実現に向けた研究会」が設定した農業機械の安全性確保の自動化レベル。

「自動走行トラクター」はレベル2まで実現されており、現在は内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のスマートバイオ産業・農業基盤技術において、2020年のレベル3実用化に向けて圃場(ほじょう)間での移動を含む遠隔監視による無人自動走行システムを開発中です。

農業機械の自動化レベル

レベル1:使用者が搭乗した状態での自動化(市販化済)
  • 直進走行部分などハンドル操作の一部等を自動化
  • 自動化されていない部分の操作は、全て使用者が実施

レベル2:使用者の監視下での無人状態での自律走行(市販化済)
  • ロボット農機は、無人で自律走行(ハンドル操作、発進停止、作業機制御を自動化)
  • 使用者は、ロボット農機を常時監視し、危険の判断、非常時の操作を実施
  • 基本的に、居住地域から離れた農地など、第三者の侵入可能性が著しく低い環境等で使用

レベル3:無人状態での完全自律走行(2020年実用化予定)
  • ロボット農機は、無人状態で常時全ての操作を実施
  • 基本的にロボット農機が周囲を監視して、非常時の停止操作を実施(使用者はモニター等で遠隔監視)
2017年に有人監視下で自動運転が可能なトラクターが販売され、徐々に導入が進んでいる自動走行トラクター。現在、日本メーカーの自動走行トラクターは、ヤンマーやクボタ、井関農機、三菱マヒンドラ農機が販売しています。このうち、レベル2の自動走行トラクターは、ヤンマーのロボットトラクター、クボタのアグリロボトラクタ、井関農機のロボットトラクタです。

自動走行トラクターを導入することで、限られた作期の中で1人当たりの作業可能な面積が拡大し、大規模化が可能になります。また、1人で複数台(現状最大5台まで可能)のトラクターを操作可能なため、農作業者1人分の人件費を削減することが可能とされています。また、2020年に実用化を予定しているレベル3では、ほ場間での移動を含む遠隔監視下での無人走行も可能になるとされており、より大規模な面積での農作業が可能になる予定です。

まだ自動走行トラクターは高価格であることがネックになっていますが、今後さらに導入が進み、低価格化することを期待したいですね。
出典:生研支援センターBRAINChannel

スマート農業の未来にワクワクする!

「農業分野におけるSociety5.0」と、完全自律走行を目指す「自動走行トラクター」いかがでしたか?

各社の努力によってロボット技術やICTを活用して超省力・高品質生産を実現する新たな農業(スマート農業)が、どんどん実現しています。今後、遠隔モニタリングシステムを活用したスマート農業、農業AIツールも特集する予定ですのでお楽しみに!

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