汗をかいても、サラサラ快適♪吸汗・吸水・吸湿・速乾の仕組みを徹底解明します‼︎
2021年2月25日
春や夏によく見かける衣服の機能のひとつ、「吸水速乾」「吸汗速乾」という言葉。どちらも同じ意味で使用されていて、漢字からなんとなくその機能性がイメージできます。「吸汗速乾」の衣類は、汗をかいてもドライな状態をキープしてくれて、快適に過ごせるすぐれものですよね。
ハードな作業現場には必携の「吸汗速乾」。今回は吸汗速乾がどのような機能なのか、解明していきます!
ハードな作業現場には必携の「吸汗速乾」。今回は吸汗速乾がどのような機能なのか、解明していきます!
吸汗速乾(吸水速乾)/きゅうかんそっかん(きゅうすいそっかん)
吸汗速乾を、一つの単語として知っている方が多いかと思いますが、「吸水性」と「速乾性」という2つの機能を併せ持つ機能性素材です。主に吸収する水分が汗であることから、衣類の機能を「吸汗速乾」と表示することが多いようです。また、吸湿速乾と表示されていることもあります。
- 吸湿性:気体の水分(湿気)を吸い取る性質
- 吸水性:液体の水分を吸い取る性質
- 吸汗性:吸水性と同義で、対象となる水分が汗であることが多い
- 速乾性:水分を含んだ生地が、短時間で乾く性質
暑い日に作業やスポーツをしていると汗が流れて体力を消耗し、体も冷えてしまいます。しかし、吸汗速乾機能のあるインナーやウェアを着用すると、汗を素早く吸収して、発散することで乾かしてくれるため、ムレの不快感を抑え、サラサラな着心地を維持してくれます。通常は、肌に触れる側に吸水機能、外側は速乾機能を持たせることが多く、着用時の快適さにつながっています。
また、洗濯しても早く乾いてくれるので、自宅でのお手入れがしやすいのも特徴です。
吸汗速乾のインナーと、普通のインナーの違い
- 持続するサラサラの肌触り
- 湿気がこもらず、ムレない
- すぐ乾くからこその軽さ
- 汗がすぐ蒸発するから涼しい
汗対策は綿じゃダメ?
水を素早く吸収できる「速さ」と、たくさんの水を吸収できる「キャパシティ」の2つが揃った生地は、吸水力が高いといえます。
吸水力の高い素材は、天然繊維の綿が知られています。タオルやハンカチ、Tシャツなど、さまざまな製品に使われているのは、その優れた吸水性能こそ。しかし、綿は吸水性に優れていても、速乾性が劣るため、すぐに乾くわけではありません。綿の繊維が水分を吸収してしまうので、乾きにくいのです。
そのため吸汗速乾素材には、吸水性ではなく、速乾性に優れた素材が使われています。
インナーやウェアなどのアパレルはもちろん、バッグや帽子、雨具などの小物にも利用されているポリエステル。アクティブシーンで活用されることも多いポリエステルの特徴のひとつは、速乾性です。
吸水力の高い素材は、天然繊維の綿が知られています。タオルやハンカチ、Tシャツなど、さまざまな製品に使われているのは、その優れた吸水性能こそ。しかし、綿は吸水性に優れていても、速乾性が劣るため、すぐに乾くわけではありません。綿の繊維が水分を吸収してしまうので、乾きにくいのです。
そのため吸汗速乾素材には、吸水性ではなく、速乾性に優れた素材が使われています。
インナーやウェアなどのアパレルはもちろん、バッグや帽子、雨具などの小物にも利用されているポリエステル。アクティブシーンで活用されることも多いポリエステルの特徴のひとつは、速乾性です。
参考記事
世界中で使われているポリエステル繊維
ポリエステルとは高分子化学物の総称で、化学繊維としてはアクリルと並んで最も使用量・生産量の多い繊維です。ポリエステルを熱で溶解して繊維状に押し出し、冷却して繊維化します。こうして生まれたポリエステル繊維は、吸水速乾・防臭・抗菌といった高機能・多機能素材として使用されます。
ポリエステル繊維自体にはほとんど吸湿・吸水・吸汗性能はなく、他の繊維と組み合わせたり、繊維形状や生地にする際に加工を施して、吸水機能を持たせています。
吸水性がほとんどないからこそ、速乾性には優れています。ポリエステル繊維は、疎水性繊維(そすいせいせんい、繊維が水分を吸収しない性質)に属します。糸や生地の隙間に水分を取り込むだけで、繊維内部まで水分を吸収しません。公定水分率も0.4%です。水分率がほとんどゼロに近いため、水や汗が生地に触れたときに拡散して蒸発させます。そのため、綿にはない特徴である速乾性を維持することができるのです。
ポリエステル繊維にはいくつかの種類がありますが、よく使われているのは数種類です。
ポリエステル繊維自体にはほとんど吸湿・吸水・吸汗性能はなく、他の繊維と組み合わせたり、繊維形状や生地にする際に加工を施して、吸水機能を持たせています。
吸水性がほとんどないからこそ、速乾性には優れています。ポリエステル繊維は、疎水性繊維(そすいせいせんい、繊維が水分を吸収しない性質)に属します。糸や生地の隙間に水分を取り込むだけで、繊維内部まで水分を吸収しません。公定水分率も0.4%です。水分率がほとんどゼロに近いため、水や汗が生地に触れたときに拡散して蒸発させます。そのため、綿にはない特徴である速乾性を維持することができるのです。
ポリエステル繊維にはいくつかの種類がありますが、よく使われているのは数種類です。
- PET(ポリエチレンテレフタレート)
原料価格が安く、ペットボトルの原料として有名ですが、ポリエステル繊維の代表格もこのPET繊維。ポリエステル繊維を使った衣服の約半数がPET繊維と言われるほどポピュラーで、耐熱性・強度・染色性に優れ、特殊な機能を持たせることもできます。 - PEN(ポリエチレンナフタレート)
PET繊維よりも強度が高く、弾性率、紫外線バリア性、耐加水分解性、熱酸化抵抗、ガス透過性に優れ、酸素や水蒸気が透過しにくいため、フィルムとして利用されることもあるポリエステル繊維です。 - PTT(ポリトリブチレンテレフタレート)
柔らかい肌触り、高い伸縮性、形状安定・形状記憶性能といった特徴があります。 - PBT(ポリブチレンテレフタレート)
伸縮性に優れているため、高機能なスポーツウェアに使用されたり、高い耐塩素性やUV特性を持っていることから水着にも使用されることがある素材です。
進化するポリエステル繊維〜弱点を克服せよ!
ポリエステル繊維の弱点である疎水性(吸水しない性質)。
これを克服して吸水性を持たせるために開発された工夫があります。
ポリエステル繊維はなめらかな側面をもちますが、繊維の断面を異型(凹凸をつけたり、側面に溝をつけたりするなど)にしたり、他の天然繊維(それこそ綿!)や化学繊維と組み合わせて混紡するといった、意図的に繊維形状を変えて吸水性や速乾性に影響を与えることができます。これにより、毛細管現象を発現させて水の移動を促進させます。
毛細管現象を生み出すには、太さの異なる糸を組み合わせる、または糸をできるだけ細くする、多孔質な糸や生地を使用する方法もあります。そのため、生地の表面と裏面で使用する繊維・糸を変えて、吸水速乾性を生み出した生地や、汗で繊維が湿ると編み目がゆるみ、乾燥すると編み目がしまって通気調整する動く繊維も開発されています。
ポリエステル繊維はなめらかな側面をもちますが、繊維の断面を異型(凹凸をつけたり、側面に溝をつけたりするなど)にしたり、他の天然繊維(それこそ綿!)や化学繊維と組み合わせて混紡するといった、意図的に繊維形状を変えて吸水性や速乾性に影響を与えることができます。これにより、毛細管現象を発現させて水の移動を促進させます。
毛細管現象を生み出すには、太さの異なる糸を組み合わせる、または糸をできるだけ細くする、多孔質な糸や生地を使用する方法もあります。そのため、生地の表面と裏面で使用する繊維・糸を変えて、吸水速乾性を生み出した生地や、汗で繊維が湿ると編み目がゆるみ、乾燥すると編み目がしまって通気調整する動く繊維も開発されています。
小学校の理科で習った「毛細管現象」という物理現象を思い出してください。毛細管現象とは、ごく細い管を液体中に立てると、管内の液面が管外の液面より高くなる現象。液体が重力を無視して広いところから狭い(細い)ところへ移動していこうとします。
この現象が、インナーやタオルなどの生地にも起こります。重力に関係なく、生地が水分に触れた部分から毛細管現象が発生し、上下左右どんな向きであっても、生地は水分を吸い取ることができます。生地が水分を吸い込む力のことを「吸水力」といい、水を吸う性質を吸水性というのです。
この現象が、インナーやタオルなどの生地にも起こります。重力に関係なく、生地が水分に触れた部分から毛細管現象が発生し、上下左右どんな向きであっても、生地は水分を吸い取ることができます。生地が水分を吸い込む力のことを「吸水力」といい、水を吸う性質を吸水性というのです。
吸水性と速乾性のJIS規格はあるのか?
JIS(日本産業規格)には、L 1907 : 2010 繊維製品の吸水性試験方法が制定されています。試験方法は3種類あり、①滴下法、②バイレック法、③沈降法があります。
①滴下法
最も一般的に利用される試験方法です。
高さ10mmの所から生地に、水を1滴(約0.04ml)滴下し、水の鏡面反射がなくなるまでの時間を計測します。一般的なアパレルであれば評価の目安は10秒以下です。スポーツウェアでは1秒以内の吸水を基準にすることもあります。
高さ10mmの所から生地に、水を1滴(約0.04ml)滴下し、水の鏡面反射がなくなるまでの時間を計測します。一般的なアパレルであれば評価の目安は10秒以下です。スポーツウェアでは1秒以内の吸水を基準にすることもあります。
②バイレック法
200mm×25mmの縦長にカットした生地を垂直にして、下端を水に浸し、10分後にどれくらい吸い上げたか、高さを計測します。評価の目安は、約8cm以上です。
③沈降法
10mm×10mmの生地を水面に浮かべ、沈み始めるまでの時間を計測します。評価の目安は、60秒以下です。
速乾性にはJIS規格に定められた試験方法はありません。ただ、拡散性残留水分率試験として、拡散性残留水分率を調べる方法はあります。
拡散性残留水分率試験
試験機関によって方法は異なりますが、生地中央に水を0.3〜0.6ml滴下し、水分の拡散乾燥にともなう試験片重量を一定時間、測定します。残留水分率が10%以下になるまでの時間で評価します。
拡散性残留水分率(%)=(任意の時間の水分重量(g)/測定開始時の水分重量(g))×100
拡散性残留水分率(%)=(任意の時間の水分重量(g)/測定開始時の水分重量(g))×100
吸水速乾の生地はいろんなところに使われている!
汗をかくシーンといえば、スポーツやアウトドア、作業現場、営業外出といったシーンを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。不快な汗を快適にしてくれる吸汗速乾の生地は、オフィスの制服や、パジャマ、マスクにも使われています。
吸汗速乾の生地が使われる代表例
- 作業着・ユニフォーム
- スポーツウェア
- アウトドアウェア
- インナー
- オフィス制服
- マスク
高機能な衣類をうまく取り入れることで、快適に過ごせるようになります。
ぜひ今回の記事を参考にしてくださいね。
ぜひ今回の記事を参考にしてくださいね。
暑さ対策・熱中症対策なら、あわせて読みたい!
クロスワーカーでは夏の暑さ対策、熱射病予防として、吸汗速乾や接触冷感といった機能性インナー・作業着をご提案しています。
法人購入のご相談はお気軽にメール、または以下のフォームよりお問い合わせください。
法人購入のご相談はお気軽にメール、または以下のフォームよりお問い合わせください。