半合成繊維を知る-環境に優しいアセテートとトリアセテートとはなにか
2021年10月8日
アセテート?トリアセテート?
天然原料を化学的に処理した「半合成繊維」
アセテートとトリアセテートはよく似たような名前のとおり、原料や製法が同じなため、同じような特徴があります。どちらも「半合成繊維」といわれる木材パルプのセルロース成分に酢酸を作用させて、化学的工程を経て作った合成繊維です。
アセテートの作り方
アセテートは、木材パルプ由来のセルロースと、石油などからの化学合成によるエステル(アセチル基)によって作られます。
まず、純度の高い木材パルプを硫酸触媒で無水酢酸と化学反応させて、アセテートフレークを作ります。このアセテートフレークから不溶固形物などを溶剤に溶かして、ろ過して取り除きます。こうしてできた紡糸原液を非常に細かいノズルから吐出させ、溶剤を熱風で蒸発させて形成します。
アセテートは、木材パルプ由来のセルロースと、石油などからの化学合成によるエステル(アセチル基)によって作られます。
まず、純度の高い木材パルプを硫酸触媒で無水酢酸と化学反応させて、アセテートフレークを作ります。このアセテートフレークから不溶固形物などを溶剤に溶かして、ろ過して取り除きます。こうしてできた紡糸原液を非常に細かいノズルから吐出させ、溶剤を熱風で蒸発させて形成します。
綿やウールは天然素材から作られるため天然繊維に分類され、ポリエステルやアクリルは化学原料から作られるため化学繊維のひとつです。アセテートとトリアセテートは天然素材の木材パルプを化学的に処理しているため、100%天然繊維でもなく100%化学繊維でもありません。それで天然繊維と合成繊維の中間である「半合成繊維」に分類されています。
最大の特徴は、木材パルプという植物由来の繊維であること。自然界に放置されると生分解されます。環境に優しいことから、いま注目の繊維なんです。
最大の特徴は、木材パルプという植物由来の繊維であること。自然界に放置されると生分解されます。環境に優しいことから、いま注目の繊維なんです。
同じような名前だけど、何が違うの?
セチル基の数で名前が変わる!
品質表示タグに書かれた「アセテート」と「トリアセテート」。同じような名前ですが、何が違うのでしょうか?
ここまでアセテートとトリアセテートと書いてきましたが、実は、ジアセテートという素材もあります。いずれもアセテートの仲間ですからほとんど同じですが、化学物質である酢酸基の含まれる量(付加するアセチル基の数)の違いによって、アセテート・ジアセテート・トリアセテートに分けられます。
アセチル基が1つだけのものがアセテート、2つ付いたものがジアセテート、3つ付いたものがトリアセテートとなります。
ただ、一般的に「アセテート」というとジアセテートのことを指していて、アセテート繊維はジアセテート繊維とトリアセテート繊維の2つに分類されています。
アセチル基が3つのトリアセテートは、アセテートやジアセテートよりも合成繊維に近い繊維です。アセチル基が複数つくと形状安定性や耐熱性など強度が改良でき、それによってそれぞれ特性が微妙に変化します。
ここまでアセテートとトリアセテートと書いてきましたが、実は、ジアセテートという素材もあります。いずれもアセテートの仲間ですからほとんど同じですが、化学物質である酢酸基の含まれる量(付加するアセチル基の数)の違いによって、アセテート・ジアセテート・トリアセテートに分けられます。
アセチル基が1つだけのものがアセテート、2つ付いたものがジアセテート、3つ付いたものがトリアセテートとなります。
ただ、一般的に「アセテート」というとジアセテートのことを指していて、アセテート繊維はジアセテート繊維とトリアセテート繊維の2つに分類されています。
アセチル基が3つのトリアセテートは、アセテートやジアセテートよりも合成繊維に近い繊維です。アセチル基が複数つくと形状安定性や耐熱性など強度が改良でき、それによってそれぞれ特性が微妙に変化します。
豆知識:「ジ」と「トリ」の意味
ジアセテート(di-acetate)の”di”とは、「2つ」という意味です。酢酸基の数が2つ付くため、アセテートに「ジ」がついた名前になりました。同じようにトリアセテート(tri-acetate)の”tri”とは「3つ」という意味で、酢酸基の数が3つ付くため、アセテートに「トリ」がついた名前になっています。
アセテートにはどんな特徴があるのか
シルクのような上品さと、毛のような風合い
アセテート(一般的にはジアセテートを指す)は、絹(シルク)に似た美しく上品な光沢と質感があり、「アセテート・レーヨン」と呼ばれることも。綿やレーヨン、キュプラに比べると軽くて、毛のような柔らかいふっくらとした風合いがあります。
撥水性があり水を弾くため汚れにくいですが、熱と摩擦に弱く、除光液や排気ガスなどへの注意が必要です。熱に強くありませんが、熱可塑性(熱すると軟化して成形しやすくなり、冷やすと再び固くなる性質)があるためプリーツ加工がしやすく、ファッションデザイン分野では重宝されています。
撥水性があり水を弾くため汚れにくいですが、熱と摩擦に弱く、除光液や排気ガスなどへの注意が必要です。熱に強くありませんが、熱可塑性(熱すると軟化して成形しやすくなり、冷やすと再び固くなる性質)があるためプリーツ加工がしやすく、ファッションデザイン分野では重宝されています。
主な特徴
- 肌に優しい絹(シルク)のような光沢と柔らかさ
- 軽やかでしなやかなドレープとシルエット
- 毛のようなふっくらとした風合いと豊かな感触
- 適度な吸湿性・保温性
- 弾力性があり、水による伸縮が小さいのでシワになりにくい
- 水を弾く撥水性
- 透明度が高く、綺麗な染色性を発揮
- 摩擦と熱に弱いが、プリーツ加工がしやすい
- 汚れにくく、落としやすい
短所
- マニュキュアや除光液がつくと溶ける
- 染色したものは排気ガスなどで変色する
- アルカリ洗剤を使うと光沢が消失する
- 引っ張り強度がレーヨンより弱い
- 摩擦に弱い
- 耐熱性が低い
- 濡れた状態ではシワになりやすい
では、ジアセテートとトリアセテートにはどんな違いがあるのでしょうか?
どちらもアセテートと同じような特性を持っていて、共通点はもちろんセルロース系の半合成繊維であること、引っ張り強度が弱いこと。
アセチル基の数が多いためアセテートよりも短所が改善されていて、ジアセテートのほうが吸湿性が高く、トリアセテートは耐熱性がわずかに改善されていて、湿潤時の形態安定性にも優れるという特徴があります。
どちらもアセテートと同じような特性を持っていて、共通点はもちろんセルロース系の半合成繊維であること、引っ張り強度が弱いこと。
アセチル基の数が多いためアセテートよりも短所が改善されていて、ジアセテートのほうが吸湿性が高く、トリアセテートは耐熱性がわずかに改善されていて、湿潤時の形態安定性にも優れるという特徴があります。
ジアセテート
- トリアセテートよりも吸湿性が高い
- ニット素材に使われる
トリアセテート
- ジアセテートよりも吸湿性が低い
- ジアセテートよりも耐熱性に優れる
- ジアセテートよりも湿潤時の形態安定性が改良されている
- ニット素材に使われない
アセテートのお手入れ
絹(シルク)のような風合いなのに、絹(シルク)よりも安価で手に入り、ファッション性の高いアイテムに使われることの多いアセテート。厚手の生地なら撥水性が高く、レインコートや傘などの素材に使われています
ただし、アセテートは耐久性に不安があり、全体的に強度の低い素材です。アセテートのパンツやスカートで長時間座ったままだと、お尻部分にシワができてしまいます。摩擦や熱で傷みやすいため、洗濯には注意したり、アイロンをかけるにはスチームを使わずに当て布をするといった工夫が必要です。また、染み抜きのために溶剤を使うと、繊維が溶けてしまうこともあるので、丁寧にケアしましょう。
アセテートは摩擦に弱いため、洗濯するときは洗濯ネットに入れて、脱水は減らすなど、摩擦が起こりやすい洗濯方法は避けてください。熱にも弱いですから乾燥機は使わず、形状記憶性があるので必ずシワを伸ばしてから陰干ししましょう。
ただし、アセテートは耐久性に不安があり、全体的に強度の低い素材です。アセテートのパンツやスカートで長時間座ったままだと、お尻部分にシワができてしまいます。摩擦や熱で傷みやすいため、洗濯には注意したり、アイロンをかけるにはスチームを使わずに当て布をするといった工夫が必要です。また、染み抜きのために溶剤を使うと、繊維が溶けてしまうこともあるので、丁寧にケアしましょう。
アセテートは摩擦に弱いため、洗濯するときは洗濯ネットに入れて、脱水は減らすなど、摩擦が起こりやすい洗濯方法は避けてください。熱にも弱いですから乾燥機は使わず、形状記憶性があるので必ずシワを伸ばしてから陰干ししましょう。
気をつけること
- 自動車の排ガスや石油ストーブのガスなどの酸化窒素ガス(NOx)で、変色・退色することがあります。
- 除光液や整髪料などで、繊維が溶けてしまったり、硬化してしまうことがあります。
繊維について知ろう!参考記事はこちら!!
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