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ナイロンとは何か?–合成繊維・ナイロンのメリット・デメリット、ポリエステルとの違いも徹底解説!

2021年4月22日
世界で初めて商品化された合成繊維・ナイロン。衣服によく使われている繊維素材のため、ナイロンという名前を知っている方も多いでしょう。

でも、ナイロンの歴史や種類、そもそも何から作られていて、どんなメリットがあるのか、知っていますか?ポリエステルの次に生産量が多く、三大合成繊維のひとつである「ナイロン」を詳しくご説明します。

化学繊維:【ナイロン】(nylon)の歴史

化学繊維の中の、合成繊維に分類されるナイロン。

その歴史は1936年(昭和11年)まで遡ります。アメリカのデュポン社によって世界で初めて開発された合成繊維で、当時は石炭・水・空気を原料としていました(現在は石油から作られています)。

「クモの糸より細く、鉄より強く、絹糸よりも弾力があり、光り輝く繊維」というキャッチフレーズで鮮烈なデビューを飾り、合成繊維の中で最も早く商品化・工業化に成功しました。ナイロンが画期的な発明であり、大きな期待を受けていたことがわかりますね。そしてナイロンは今でも世界中で幅広く使われている繊維のひとつでもあります。

ちなみに、ナイロンは女性用ストッキングとして使われたのが始まりであるため、「ナイロン(nylon)」の名称は伝線(run)しない=「norun(ノーラン)」に由来しています。また、ナイロンはデュポン社の商品名でしたが、のちにこの合成繊維の総称・一般名として定着しました。

化学繊維と合成繊維の違い

化学繊維は天然繊維とともに大別されるカテゴリーのひとつです。化学繊維の中で、さらに大きく4つに分類されます。

  • 合成繊維…石油・石炭などの原料を化学技術で加工した繊維
  • 半合成繊維…合成繊維と再生繊維の中間的な繊維
  • 再生繊維…再利用された原料で紡糸した繊維
  • 無機繊維…金属やガラスから加工された繊維

ナイロンの原料は石油

ナイロンは主に石油を原料とする「ポリアミド(PA)」とよばれる合成樹脂から作られた、高分子ポリアミド系合成繊維です。そのため、ナイロンのことをポリアミドと呼ぶこともあります。重合している分子の結合状態によって種類が分けられます。

ナイロンは大きく2種類ある

衣服に使われているナイロンには種類があり、「ナイロン6,6」や「ナイロン6」の2つが代表的です。開発企業と、使用される原料が異なりますが、突出した特徴の違いはありません。

  • ナイロン6,6
    デュポン社のカローザス博士によって、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重合で合成された「ナイロン6,6」が最初の合成繊維です。絹に近い肌触りで、耐熱性により優れているとされています。産業資材などによく使われます。
  • ナイロン6
    日本では、東洋レーヨン(現・東レ)が独自技術によって開発した「ナイロン6」が一般的です。木綿に近い肌触りで、コスト的により有利とされています。柔らかな素材のため衣料用によく使われます。

ナイロン11やナイロン12など様々な種類が開発されていますが、特に生産されているナイロンは上記の2つです。

豆知識
ナイロンの後ろについている数字は、合成原料の炭素原子の数に由来しています。そのため、現時点ではナイロン3などは開発されてません。また、ナイロンの仲間に「アラミド」という繊維もありますが、品質表示法ではナイロンではなく「アラミド」と表示されています。

ナイロンの特徴:強く、軽く、伸縮性・弾力性がある

ナイロンで作られた女性用ストッキングは、あっという間に世界中で大流行しました。摩耗や摩擦に強く、綿に比べて軽量で、伸縮性・弾力性があって型崩れをしにくいナイロンは、女性用ストッキングに最適でした。

高強度・高耐薬品性などの特性をもつスーパー繊維であることから、航空機や自動車用などの過酷な条件下でも使用されるナイロン。衣料品では欠かせない存在であり、さまざまなアイテムに使われているナイロンは、同じ合成繊維のポリエステルと比較されることが多くあります。そこでポリエステルとの違いも含めて、ナイロンのメリット・デメリットをまとめてみました。

①高い耐久性=強度

綿の約10倍と言われるほど天然繊維に比べて高い強度を誇り、摩擦や摩耗、引っ張りにも強い丈夫な繊維です。表面がスベスベしていることもあって、摩擦による傷みが生じにくく、ハードな使用にも負けない耐久性があります。

耐摩耗性に優れているおかげで洗濯による劣化も少なく、アウターやバッグなど外で使うアイテムでも長く愛用することができます。

ポリエステルも耐久性のある素材ですが、ナイロンの方がより高い耐久性があります。

②軽量

繊維の中では最高クラスの軽さで、天然素材と比べて丈夫でありながら比重が軽いという特徴があります。軽くて薄い、丈夫な生地が出来上がるため、ウェアにナイロンが使用されるのです。

ポリエステルも軽量な繊維ですが、ナイロンの方がやや軽さがあります。

③伸縮性・弾力性

ナイロンは繊維自体に伸縮性・弾力性に富み、適度に伸びる繊維です。引っ張ると元に戻ろうとする力が強いことで、洗濯や収納による型崩れが起きにくく、繰り返しの折り曲げに強い(シワになりにくい)という特徴があります。

この伸縮性・弾力性が、ナイロンの強度・丈夫さを高める要素でもあります。伸びのある柔らかい風合いで、濡れても強さは変わりません。

ポリエステルも伸縮性がありますが、ナイロンの方が伸度が優れています。

④吸湿・吸水性が低い

吸湿性・吸水性が低いため、インナーなどの肌に触れる衣服には向きません。汗をかいても吸収してくれないので、ベタつきます。また、アウターとして着用する場合も、湿気が多い場所ではムレるため注意が必要です。

反面、吸湿・吸水性が小さいことはメリットでもあります。水に濡れてもほとんど水を吸わないので、洗濯しても早く乾燥します。レインウェアの素材としても使われることがありますが、それはこの吸湿・吸水性が低い特徴を活かしたものです。

ポリエステルもナイロンも吸水性・吸湿性が低い繊維ですが、何も加工していない場合であればナイロンの方が優れています。ただ、ポリエステルに親水性化合物を練り込むことで、天然繊維を上回る吸水性や速乾性を付与した素材もあります。

豆知識
吸水性:液体の水を吸う性能のこと
吸湿性:気体の水(水蒸気)を吸う性能のこと

⑤熱に弱い

最大の弱点は、熱に弱いことです。ナイロン製の衣服に乾燥機やアイロンで熱を加えると、変形したり、ビニールのように溶けてしまうこともあるため(溶融)、取り扱いには注意が必要です。

ただし、熱可塑性(熱を加えると形が固定される性質)があるため、適度な温度で熱セットをすれば、型崩れしにくいプリーツをつけることができます。低温でも硬くなりにくく、難燃性があり、比較的燃えにくい素材です。

一般的なポリエステルとナイロンでは、ポリエステルの方がやや耐熱温度が高く、熱に強いと言えます。ただし、ナイロンの中には高い耐熱性のあるアラミド繊維のように、耐熱性を改善した繊維もあります。

⑤熱に弱い

最大の弱点は、熱に弱いことです。ナイロン製の衣服に乾燥機やアイロンで熱を加えると、変形したり、ビニールのように溶けてしまうこともあるため(溶融)、取り扱いには注意が必要です。

ただし、熱可塑性(熱を加えると形が固定される性質)があるため、適度な温度で熱セットをすれば、型崩れしにくいプリーツをつけることができます。低温でも硬くなりにくく、難燃性があり、比較的燃えにくい素材です。

一般的なポリエステルとナイロンでは、ポリエステルの方がやや耐熱温度が高く、熱に強いと言えます。ただし、ナイロンの中には高い耐熱性のあるアラミド繊維のように、耐熱性を改善した繊維もあります。

そのほか、以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリット

  • 染色性がよい(染色しやすく発色性も良い)
  • 耐寒冷性に優れている
  • 耐薬品性がある(酸・アルカリなどの薬品に強い)
  • 油に強い
  • 虫やカビに強い(保管しやすい)

デメリット

  • 黄変(白いものは長期間の保存や、紫外線(日光照射)によって黄ばみが出て、強度が低下する)
  • 帯電(静電気によってホコリが付きやすい)

ナイロンとポリエステルの違いをまとめると…

ナイロンもポリエステルも、加工でさまざまな機能を付与することができる繊維素材です。そのため、元々のナイロン・ポリエステルが持つメリットを強化したり、デメリットを改善した素材がたくさん開発されています。

一概には比較できませんが、一般的なナイロン・ポリエステルで比較してみましょう。
この表では、性能ではナイロンの方が優れているように見えます。

しかし、詳細を見ていくと、どちらとも言えない部分もあります。例えばもともとの性質としては吸水性・吸湿性が高いのはナイロンです。ところが速乾性で見るとポリエステルの方が優れています。ポリエステルの繊維自体にある速乾性に加えて、繊維の形状を異形断面のように工夫することで、毛細管現象が起き、天然繊維を上回る吸水性を付与しています。例えばコンプレッションウェアのように「吸水速乾機能」が求められるインナーや衣服にはポリエステルが使われることが多いようです。

摩耗や摩擦に対して、化学繊維のなかでも圧倒的に強いのはナイロンです。ポリエステルも摩擦に強いものの、ナイロンには及びません。引っ張りに強いのはナイロンですが、衝撃に強いのはポリエステルとされています。

また、耐熱温度がやや高いのはポリエステルですが、ナイロンもポリエステルも熱に強い繊維ではありませんから、取り扱いには注意が必要です。熱に弱いナイロンは、摩擦に強くても熱で穴が開くことも。例えば滑り台で摩擦熱が生じると、擦り切れてしまうことがあります。

結論:どちらが優れているとも言えない

それに、世界で一番製造されて使われているのはポリエステルです。扱いやすさ、汎用性においてポリエステルが選ばれるケースが多いようです。

ナイロンにしてもポリエステルにしても製品に使われるときは、各種機能を付与できる化学物質を練り込んだり、繊維の形状を工夫することで機能を強化することができるため、どちらが良いということではありません。製品に合わせて、持たせたい機能をもった繊維が選ばれているのです。

ナイロンの主な用途

ナイロンはその高い耐久性と軽量さで、衣料品を中心にさまざまな用途で使われています。最初は女性用ストッキングとして注目を集めましたが、現在ではアウトドア用品やダウンジャケットなどにも採用されているのです。

ナイロンに特殊加工を施してコットンのような風合いにした素材や、ウールを補強するためにナイロンを混紡したニット製品、引き裂きに強いリップストップ生地もあります。

  • ストッキングやインナーウェア
  • 服地
  • 水着
  • バッグ
  • レインコートや洋傘
  • スキーなどのスポーツウエア
  • カーテン、カーペットなどのインテリア製品
  • 魚網や釣り糸、ロープ、帆布などの資材
  • タイヤコードなど自動車や電子機器のパーツ類
  • ギターの弦

参考記事

ナイロンのお手入れ・取り扱い上の注意点

耐久性が強いので、基本的には自宅で水洗いによる洗濯ができます。ナイロンはアルカリに強いため、中性洗剤またはアルカリ性洗剤を使用します。熱に弱いため乾燥機は使用せず、紫外線で黄ばみが出やすいため日陰干ししてください。ただし、他の繊維や素材が混紡されている生地はお手入れ方法が異なるため、品質表示タグを確認してくださいね。

また、アイロンをかける時は低温で、当て布をしましょう。

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