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アクリルの特徴とは?ウールと比較されることの多いアクリルの優れた特徴を知る

2021年5月28日
秋冬になると気になるニット。ざっくり着こなしてもフィット感のあるサイジングでも、どんなスタイルでも着こなせる、みんなに人気のアイテムです。そんなニットに使われている素材といえば、まず「ウール(毛)」を思い浮かべますよね。でも手持ちのニットのケアラベル(品質表示)を見ると、ウール以外の素材が使われていることがあります。

そう、「アクリル」です。今回はアクリルに焦点を当てて、その特徴やウールとの違いについてご紹介します。

化学繊維:【アクリル】(acryl)の歴史

化学繊維の中の、合成繊維に分類されるアクリルは、ポリエステル、ナイロンとともに三大合成繊維のひとつです。現在、世界に流通している合成繊維のほとんどはこの3つで占められています。

アクリルの原料は、石油から取れる「アクリロニトリル」(ポリアクリロニトリルを主成分としてアクリル酸メチル,メタクリル酸メチル等と共重合させたもの)です。アクリロニトリルは19世紀末に発見され、アクリルが繊維化されました。その後、1950年にデュポン社が初めて工業生産を開始しました。

アクリル繊維は、アクリロニトリルを溶剤に溶かして、液状にした原料を小さな穴(ノズル)から押し出して、紡糸する(糸にする)と出来上がります。合成繊維の中でも特にウールに似た性質を持たせることができたので、この糸を編み上げて、ニットやセーターといった製品が作られています。アクリル100%はもちろん、ウールと混紡して(アクリルと一緒に混ぜ合わせて糸にして)、世界中でニットやセーターに利用されています。

化学繊維と合成繊維の違い

化学繊維は天然繊維とともに大別されるカテゴリーのひとつです。
化学繊維の中で、さらに大きく4つに分類されます。
合成繊維
石油・石炭などの原料を化学技術で加工した繊維
半合成繊維
合成繊維と再生繊維の中間的な繊維
再生繊維
再利用された原料で紡糸した繊維
無機繊維
金属やガラスから加工された繊維

参考記事

なお、難燃繊維として「アクリル系繊維」と呼ばれる繊維もありますが、これはアクリル繊維ではありません。アクリル系繊維はアクリロニトリルの割合が少なく、塩化ビニルなどが含まれているものがあります。塩化ビニルと紡糸することで難燃性になり、カーテンなどに使用されています。
また、プラスチックのアクリル樹脂もありますが、アクリル繊維とは材料が異なるので別の物です。
アクリル繊維
ポリアクリロニトリルが85%以上のもの
アクリル系繊維
ポリアクリロニトリルが35~84%、塩化ビニルまたは塩化ビニリデンなどを含む

ウールのような風合いの秘密

アクリル生産を押し上げた「バルキー糸」の開発

アクリルの糸の特徴といえば、ふんわりと柔らかく、あたたかな肌ざわり。

アクリルがウールのような風合いになったカギは、「バルキー糸(嵩高糸(かさだかいと)」でした。英語のbulky(バルキー)とは「かさばった、分厚い」という意味です。アクリルのふんわりとした感じを、かさ高性やバルキー性と言っています。

意外に思われるかもしれませんが、アクリル糸は本来ふんわりとした膨らみのない糸です。しかし、アクリルのバルキー糸は、収縮させる繊維と収縮しない繊維を混紡してあって、染色時に熱処理で収縮繊維を収縮させます。このバルキー加工をすることで繊維の間にたくさん空気が入り、繊維がかさばって嵩高く膨らんで、ウールのようなふんわりとした風合いと機能になります。

バルキー加工で糸が縮れて膨らむ(=太い糸になる)と、糸の中にたくさん空気が入るため軽くなります。それでかさ高が増して、あたたかな保温性に優れた糸になるのです。アクリルはウールや綿、シルクなどよりも比重が軽くて、大体1.14~1.17くらいと軽い繊維です。水に浮くほどではありませんが、繊維の中では軽い部類です。

ふんわりと柔らかく、あたたかい。アクリルは人工的にウールのような風合いを持たせた繊維なのです。

ちなみに、アクリルのバルキー糸には、ハイバルキーやハイハイバルキーといった種類があって、熱処理による収縮率が異なります。ハイハイバルキーの方がよりふんわりとした風合いです。

ウールに似てる?アクリルの特徴

その風合いに似せて開発されたことから、特にウールと比べて語られることが多い、アクリルの特徴。アクリルの特徴を詳しく見てきましょう。
アクリルの特徴1:ふんわりと柔らかい
ウールよりも軽く、ふんわりとボリュームのある風合いがアクリルの最大の特徴です。ウールのようなチクチク感がなく、敏感肌の方やお子さんでも安心して着用できます。弾力性に優れるだけでなく、強度も高いので、ウールに比べて摩擦や引っ張りに対しても耐久性があります。

アクリルの特徴2:あたたかな保温性

かさ高いことで繊維の中に空気をたくさん含み、保温性がよいのも、アクリルの特徴です。軽く、ふっくら温かいですが、保温性はウールの方が優れています。ただしアクリルは吸湿性が低いので濡れても乾きやすく、扱いやすい繊維です。

アクリルの特徴3:シワになりにくく抵抗力がある
ウールのように弾力性に富んでいるためシワになりにくく、弾性回復力にも優れていて多少のシワは元に戻すことができます。また、繊維自体の抵抗力が強く、日光による劣化や雨水などへの耐光性や耐候性に優れ、酸やアルカリなどの薬品に強く(耐薬品性)、油類、カビや虫害などの影響を受けません。

アクリルの特徴4:綺麗に染まる豊富なカラー
染色すると綺麗に発色し、染色堅牢度が高い繊維です。他の繊維と混紡して、豊富なカラーバリエーションで彩色でき、鮮やかな色合いのニットや織物を作ることができます。退色しにくい特徴もあるので、日焼けや色落ちがしにくく、鮮やかな色合いが長持ちします。

アクリルの特徴5:毛玉と静電気が発生しやすい

ウールに比べて摩擦に弱く、ピリング(毛玉)や静電気が発生しやすいです。アクリルとウール、アクリルと綿といった混紡糸を使った製品でも、やはり合成繊維が使われていると毛玉や静電気が発生しやすくなります。ウールの方が毛玉を取りやすく、お手入れしやすいと思います。

ウールとの違いは、吸水性・耐久性・価格

では、ウールとの違いはなんでしょうか?アクリルとウールの違いは、大きく3つあります。
ウールとの違い1:吸水性
アクリルは吸湿性・吸水性が悪く、汗を吸収しません。温かい室内で着ていて汗ばんでくるとベタつきやすいので、ウールの方が快適に過ごせるはずです。反面、アクリルは吸水性が悪い分、水濡れに強く、濡れてもすぐに乾きます。

ウールとの違い2:耐久性
アクリルはウールと違って抵抗力が強く、太陽光線による日焼けや色落ち、カビ・虫食いなどの心配がありません。ただし摩擦に弱くて毛玉や静電気が発生しやすい、高温の熱(190度くらいまでは耐熱性があります)で軟化したり熱に弱いという弱点があります。

ウールとの違い3:価格
アクリルは世界中で大量生産・消費されている合成繊維のため、ウールよりも安価に流通しています。最近ではフェイクファー(エコファー)としても使われています。アクリルは上述のとおり摩擦に弱く毛玉ができやすいため、長く綺麗に着用できるのはウールとされています。
ウールもアクリルも、どちらが優れているということはないので、それぞれの特徴の違いを理解して、製品を購入するときに素材を選ぶことが大切です。

アクリルの主な用途

アクリルはあたたかな風合いとボリュームを生かして、ウールなどと混紡したハイバルキー糸を使用したニットやセーター、フェイクファー(エコファー)、毛布やカーペットなどのインテリア製品、パイル、和服地、毛糸といった製品に重宝され、多く用いられています。

また、カシミアのような風合いや、モヘアのような風合いまで、さまざまな風合いのアクリル製品が開発されています。

アクリルのお手入れ・取り扱い上の注意点

基本的には水洗いができます。デザインや混紡素材によってお手入れの方法が変わるため、洗濯前にケアラベル(品質表示)を必ず確認してください。また、アクリルは摩擦が苦手なので、毛玉ができないように、手洗いしたり、洗濯ネットを使用したり、生地を裏返して洗濯するなどの工夫をしましょう。

アクリル製品は吸水性が低くて乾きやすいので、脱水時間は短くても大丈夫です。洗濯後は、水分の重みや自重で生地が伸びてしまうので、ハンガーは使わずに風通しの良い場所で平干しする自然乾燥がおすすめです。熱に弱い特性があるので、アイロン掛けをするときはスチームアイロンを使用し、アイロンを浮かせながら軽く当てて、形を整えるくらいにしてください。

摩擦によって袖や脇に毛玉ができやすいため、アクリル製品を着用したら定期的に毛玉の処理をしましょう。毛玉取り器やハサミでカットすれば、長く愛用できますよ。

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