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静電気の「バチッ!!」 帯電防止加工と導電繊維、静電気帯電防止作業服について知ろう

2021年1月21日
静電気の仕組みや、静電気が花粉やウイルスを引き寄せることを先日解説しました。
私たちが冬に服を着ると、からだ – インナー(肌着) – 作業着のように肌の上に重ねて着用していくため、それぞれの間で摩擦が起きてしまいます。そこで今回は、静電気を低減する「帯電防止加工」と「導電性繊維」について解説します。

静電気を防止する帯電防止加工も導電繊維も、初めて耳にする方も多いかもしれません。どのようなものに静電気を軽減する技術が使われているのかについても、確認していきましょう。

静電気を低減する方法

① 帯電防止加工

冬になると特に気になる静電気。静電気によってドアノブに触れたときに「バチッ」と痛い思いをしたり、ホコリが付いたり、衣服がまとわりついたり…。この静電気が起こりやすい状態を抑えてくれて快適性を高める加工が、静電気防止加工=帯電防止加工です。

衣服の摩擦などで生じた静電気が帯電することを防ぐために、繊維の表面に親水化薬剤といった「帯電防止剤」を付着させて静電気を起こりにくくする後加工です。

帯電防止剤は、空気中の水分を吸着して導電性(電気の通しやすさ)を付与する界面活性剤タイプのものが主流です。界面活性剤は水になじみやすい部分(親水基)と、油になじみやすい部分(親油基)がくっついた形をしています。衣服の表面に親水基が空気中の水分子を引き寄せて導電性を高めて電気を逃しやすくし、親油基が潤滑油として衣服の摩擦を減らします。電気を通しにくい合成繊維や化学繊維でも、帯電防止剤を付着させれば電気を通しやすい生地になります。
クリーニング店で行われている静電気防止加工も、市販されている静電気防止スプレーも、この帯電防止剤が使用されています。静電気が気になる衣服にスプレーで吹き付けるだけなので手軽で簡単です。

デメリットは効果の持続性と洗濯耐久性が弱く、一時的な効果であること。加工に使用する薬剤によっても異なりますが、帯電防止加工した衣服を着用しても、衣服同士の摩擦などで効果が低下してしまったり、数回の洗濯で効果がなくなってしまいます。

衣服を洗濯するたびに静電防止スプレーを吹き付けなければいけない、となると、ちょっと手間ですよね。長期的に静電気を防止する加工として開発された技術が「導電繊維」です。

② 導電性繊維

静電気の発生を防ぐために、化学繊維などの糸に電気を通しやすい繊維=導電性繊維を用いる方法です。

ナイロンやポリエステル、アクリルは衣服によく使われている一般的な化学繊維です。これらの化学繊維は電気を通しにくい性質があり、電気が溜まりやすいため静電気が発生しやすいものです。反対に、電気を通しやすい繊維もあります。金属繊維やカーボンブラック、カーボン繊維のように導電性の良い繊維は、医薬品工場や精密電子工場のような高い制電性が求められる環境で使われています。

導電性繊維には、製造段階の化学繊維の糸の中心・芯部分に電気を通しやすい繊維を入れたり、繊維の表面に金属を蒸着させてコーティング(被覆)したり、ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維を使用するなど、様々な活用方法があります。
導電性繊維の糸をあらかじめ合成繊維の中に導電性繊維を練り込むといった方法は、破断しなければ効果は半永久的です。生地が帯電しても、導電性繊維が避雷針のように溜まった静電気を引き寄せて、集まった静電気はコロナ放電という微弱な放電を空気中に行うため、帯電防止効果を発揮し、静電気の発生を防いでくれます。

そのため、静電気によって爆発事故や火災が発生しやすい精密工場や化学工場、ガソリンスタンド、医療機関、研究所などでの作業服は、帯電防止加工ではなく導電性繊維が用いられた生地が使われます。

導電繊維を用いた作業服にはJIS規格があり、この基準をクリアした作業服が「静電気帯電防止作業服」です。

JIS T 8118: 2001 静電気帯電防止作業服

化学工場やガソリンスタンドなど静電気による爆発火災事故を防いだり、電子機器工場など静電気障害による電子部品の破損を防ぐために制定された労働安全衛生法施行例の一部で、着用する作業服の規格です。

「作業服の静電気帯電に起因して発生する災害・障害を防止するため、生地に帯電防止織編物を使用して縫製した静電気帯電防止作業服(上衣、ズボン、つなぎ服、防寒服など、以下、帯電防止服という。」について規定されています。

【概要(規格より抜粋)】
  • 帯電防止織編物生地に導電性繊維をほぼ等間隔又はほぼ均一に混入した織物若しくは編物
  • 導電性繊維金属、カーボンなどの導電性材料でできた繊維、又はこれらを一部に使用してできた繊維で、帯電防止性能をもつもの。
  • 裏地付き帯電防止服帯電防止の目的で帯電防止織編物を作業服の表地及び裏地に使用した服。
  • 摩擦布摩擦による帯電防止性能の試験に用いるナイロン布又はアクリル布

導電糸を一部に使用した帯電防止繊維を裏地も含めて使用すること。ただし、やむを得ずに裏地に帯電防止素材でない生地を使用するときは、その面積が帯電防止作業服の表面又は裏面露出面積のそれぞれ20%を越えないこと。

裏地付き帯電防止服についても同様で、帯電防止繊維を使用することが規定されていて、帯電防止素材でない生地を使用するときのルールも同じです。

金属製のボタンやファスナーは原則使用できませんが、プラスチックなどの樹脂製のボタンにすること、ズボンのファスナーは着用時に完全に隠れるようにすれば使用することができます。

裏地なし帯電防止服

生地は、すべて帯電防止織編物とする。ただし、やむを得ず補強裏地、ポケット裏地などに帯電防止織編物でない生地を使用する場合には、その面積が帯電防止服の表面又は裏面露出面積それぞれの20%を超えてはならない。

裏地付き帯電防止服(わた入りの防寒服など)

生地は、表地及び裏地についても帯電防止織編物を使用し、通常裏毛生地(ボア)は使用してはならない。やむを得ず、えり、そで口などに帯電防止織編物でない生地を使用する場合は、その面積が帯電防止服の表面又は裏面露出面積それぞれの20%を超えてはならない。

金属製附属品(ボタン、ファスナなど)

使用しないこと。ただし、やむを得ずこれを使用する場合には着用状態(ボタン、ファスナを掛けた状態)において直接外側に露出しない構造にする。
帯電防止織編物で構成された作業服(上衣、下衣、つなぎ服、防寒服等)は洗濯試験を実施して評価します。その結果、製品の帯電電荷量が0.6μC/着以下であることが求められます。生地の場合は7μC/m2 以下でなければなりません。

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