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大切な手を守る「防護手袋」と「JIS規格・防振手袋」について知る

2020年10月26日
前回は防護手袋の種類と、溶接用かわ製保護手袋についてをご紹介しました!シリーズ4回目となる今回は、防振手袋をクローズアップ!

チェーンソーや草刈り機、グラインダー、電動ドリルなどの振動工具を使用し続けると、手や腕にしびれや痛みが起こってしまいます。この振動を長時間受け続けると症状が慢性化してしまい、作業者の健康を脅かす振動障害が生じる危険性もあります。手腕への振動リスクを軽減するために装着するのが「防振手袋」です。作業環境に合わせて、ゴム製・革製などさまざまな種類があります。

防振手袋のJIS規格と、作業や用途にあった防振手袋の選び方をご紹介します。

防護手袋とは?

防護手袋とは、「作業者の手や手首上部を、切創等の災害から守る目的で作られた手袋」のことです。熱、振動、切創、電気、化学物質などの危険有害因子より手を保護することを目的とした手袋で、危険有害要因から手を保護するため、適切な防護手袋を選択し、正しく使用する必要があります。

主な目的に応じて以下のような手袋の種類があり、日本産業規格(JIS規格)や国際規格が定められているものがあります。JIS規格や国際規格の試験をクリアして認証を受けた手袋であれば「安心」ですよね。

防振手袋にもJIS規格と国際規格が定められていますが、その前に防振手袋の着用がなぜ必要なのか、見ていきましょう。

電気絶縁用手袋

JIS T8112 電気絶縁用手袋
電気工事などで作業者を感電の危険から守るために使用する手袋。労働安全衛生規則によって高圧・低圧の活線作業では絶縁用保護具の使用が義務付けられています。

溶接用かわ製保護手袋

JIS T8113 溶接用かわ製保護手袋
溶接、溶断作業において、火花、溶融金属、熱せられた金属などが手に直接接触することによる傷害を防止するための手袋。

防振手袋

JIS T8114 防振手袋
手腕かかる局所的な振動から守る手袋。グラインダーやチェーンソーなどの振動工具を長時間使用することで手腕の痺れや痛み(振動障害)を予防する。

化学防護手袋

JIS T8116 化学防護手袋
酸、アルカリ、有機薬品などの化学薬品の汚染から手を保護する手袋。対象とする有害な化学物質を考慮して作業に適した手袋を選択することが重要。

耐切創手袋

国際規格・試験のEN 388:2016(ISO 23388)は、主に耐切創手袋に用いられる規格です。
耐切創繊維(切れにくい機能性繊維)を使用し、手や指を切る切創事故から手を保護する手袋。刃物やガラス・鉄板を扱う作業で使用され、耐切創強度や繊維特性により種類豊富。

耐熱・耐寒手袋

溶接や消火など加熱物を取り扱う作業で、手を高温・熱から保護する耐熱手袋。寒冷な環境でも冷たさを感じず、保温性に優れ高い作業性を実現する耐寒手袋。

振動障害は完治が難しい

日曜大工やDIY、自宅の芝刈り・草刈りなどで振動が発生する工具(電動ドリルや芝刈り機など)を使って作業したことはありませんか?これらの工具を数十分使っただけでも手や腕に疲れが残り、場合によってはしびれや痛みを感じたことがあるかもしれません。手や腕への振動ばく露による急性症状は、安静にしていれば数日で治ってしまうものです。

しかし、手や腕に長期間にわたって振動を受け続けると、作業者の健康を害する振動障害(手腕振動症候群(HAVS))を発症することは広く知られています。

プロワーカーの方であれば、仕事として振動を受ける作業を毎日のように継続的に行います。そして数年単位の長期にわたり振動が加わったことで症状が慢性化してしまうことを、振動障害といいます。手腕振動によって末端の血液循環が悪くなる末梢循環障害、手指のしびれと痛みが起こり触覚が鈍くなる末梢神経障害、手首や関節の痛みが起こる骨・関節の障害といった症状が発生します。振動障害は一度発症してしまうと完治することは難しいとされていて、現状では症状緩和などの対症療法しかありません。

振動障害の労災認定数は、毎年横ばいで減っていない

かつてはじん肺とその合併症、および振動障害が二大職業病でした。振動障害は年間2000人以上もの新規患者が労災認定されていた時代もありましたが、現在は200〜300人程度の横ばい状況が15年ほど続いています。

平成30年の振動障害による労災認定者数は281人、建設業や鉱業での認定者数が多くなっています。この統計は振動障害に関する労災申請の新規認定患者数であり、実際の振動障害の新規患者数とは異なります。つまり、労災認定されずにいる新規患者も多数存在する可能性があるのです。
振動障害は治らないのであれば、出来る限り発症しないように予防することが重要です。そのための保護具として、防振手袋があります。

振動が健康を害する恐れがあると分かっていても、振動を受ける工具を使用した作業が必要なことがあります。作業のことを考えれば、工具を使用しないことは出来ないでしょう。工具の使用が避けられない現場のために、防振手袋の使用が推奨されています。

防振手袋は振動を軽減する防振材が埋め込まれており、工業規格を取得しているかどうかがひとつの判断目安になります。

振動障害を予防する、防振手袋の工業規格とは

防振性能の工業規格には、JIS T8114(2007)と、ISO10819(2013)のふたつがあります。

防振手袋が満たすべき性能を定めた国内の工業規格は、振動をどれだけ抑えることができるか防振効果を測定し、その要件を定めた日本工業規格のJIS T8114(2007)です。この基準を満たした製品にJIS規格の認定を与えています。

JIS T8114(2007)は、国際標準化機構による国際規格・ISO10819(1996)に合わせて制定されました。ところが、ISO10819(1996)は2013年に改定され、最新のISO 10819(2013)に対してJIS T8114(2007)は振動軽減性能の測定・評価方法など一部内容が異なることになってしまいました。そのため、JIS規格認定品であってもISO 10819(2013)の要件を満たさない防振手袋も存在します。

JIS規格と一緒にISO規格の検査を行い、2つの認証を受けた防振手袋もあります。ただ、JISとISO、どちらの規格が優れているというものではありませんので、どちらか一方に認定されていれば、より防振効果の高い手袋です。

防振性能を確認したいときは、製品の説明欄を見て、防振手袋にJIS規格やISO規格に適合していることの記載があるか確認するようにしましょう。JIS規格に適合していない手袋もあるため、より防振性能の高い製品を選ぶ際の参考にもなります。安全性を考慮するなら、規格に適合した防振手袋を選ぶことをお勧めします。

作業に応じた防振手袋の選び方

作業者によっては防振性のない軍手やゴム手袋を防振手袋の代わりに着用していることがあります。軍手やゴム手袋は安価で、手に入りやすく、作業もしやすいですが、振動障害の予防にはなりません。

防振手袋に使用する防振材は厚みのある素材であることが多く、着用した作業者の方々からボタンを押すなどの細かい作業がしにくく、工具の持ち手を握りにくくなったり、作業効率が低下するという声もありました。

しかし最近ではたくさんの種類の防振手袋が販売されています。ぜひ作業内容や用途にあった防振手袋を選び、着用するように心がけてください。

振動作業の防振手袋

防振性能が高くコスパも良い、クロロプレンゴムの防振手袋が向いています。天然皮革に比べリーズナブルですが、防振性能が高く、通気性も良い素材です。

火花や粉じんが飛ぶ作業の防振手袋

グラインダーのような火花や粉じんが飛ぶ工具を使用する鉄工などの作業では、天然皮革製の防振手袋が向いています。溶接用手袋に使われるほど火や熱に強く、丈夫で耐久性に優れ、柔らかい天然素材は使い込むとより手になじみ、長く使用できます。指の半分が露出した半指タイプの防振手袋もあり、防振性能は落ちますが、ボタン操作など細かい作業がある人におすすめです。

防刃性能が求められる作業の防振手袋

チェーンソーや刈払機などの刃物が付いた工具を使用する作業では、網み手袋か耐切創の防振手袋が向いています。強靭な繊維を編み込んで手を保護してくれる網み手袋タイプは、刃物に対する耐切創性に優れ、粉じんが入りにくく、細かい作業もしやすいことが特徴です。耐切創の防振手袋は刃物などによるケガから防護してくれ、枝や草で手を切ってしまう心配もありません。

水や油を使う作業の防振手袋

削岩機など水を使用する作業では防水性のあるオールコートタイプ、水も油も使用する作業では防水性・耐油性に優れたニトリルコートタイプの防振手袋が向いています。どちらも手袋に滑り止め効果が付いている防振手袋が多く、普通のゴム手袋のような使用感です。

防振手袋は消耗品!適宜交換しましょう

どの防振手袋も振動障害の予防に効果がありますが、完全に予防してくれるものではなく、手袋は消耗品です。使い続けるうちに劣化して期待する効果を発揮できなくなるため、同じ防振手袋をずっと使い続けることは避けて、新しい手袋に交換しましょう。また、防振手袋を使用しているからといって、振動を受ける作業量を増やしたり、長時間の作業を続けないようにしてください。

今は何も自覚症状がなくても、数年先はわからないものです。作業や用途に合わせて防振手袋を正しく選び、安全な作業と作業者の健康を守りましょう。

従業員の健康を守るために、防振手袋を購入・交換してみませんか。

規格を知ると、手袋に表示されたマークをしっかり確認できるようになりますし、購入するときに手袋を比較して選べるようになります。
防護手袋はしっかりと安全性能が確認されたものを使用したいものですね。

クロスワーカーでは使用目的に応じた防護手袋を多種多様に揃えています。
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