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大切な手を守る「防護手袋」と「JIS規格・溶接用かわ製保護手袋」について知る

2020年10月13日
前回は防護手袋の種類と、電気絶縁用手袋についてをご紹介しました!シリーズ3回目となる今回は、溶接用かわ製保護手袋のJIS規格や、溶接用かわ製保護手袋にまつわる法律についてもご説明します。

防護手袋とは?

防護手袋とは、「作業者の手や手首上部を、切創等の災害から守る目的で作られた手袋」のことです。熱、振動、切創、電気、化学物質などの危険有害因子より手を保護することを目的とした手袋で、危険有害要因から手を保護するため、適切な防護手袋を選択し、正しく使用する必要があります。

主な目的に応じて以下のような手袋の種類があり、日本産業規格(JIS規格)や国際規格が定められているものがあります。JIS規格や国際規格の試験をクリアして認証を受けた手袋であれば「安心」ですよね。

溶接用かわ製保護手袋とはどんなものなのかご説明する前に、まず溶接用かわ製保護手袋にまつわる法律について、確認していきましょう。

電気絶縁用手袋

JIS T8112 電気絶縁用手袋
電気工事などで作業者を感電の危険から守るために使用する手袋。労働安全衛生規則によって高圧・低圧の活線作業では絶縁用保護具の使用が義務付けられています。

溶接用かわ製保護手袋

JIS T8113 溶接用かわ製保護手袋
溶接、溶断作業において、火花、溶融金属、熱せられた金属などが手に直接接触することによる傷害を防止するための手袋。

防振手袋

JIS T8114 防振手袋
手腕かかる局所的な振動から守る手袋。グラインダーやチェーンソーなどの振動工具を長時間使用することで手腕の痺れや痛み(振動障害)を予防する。

化学防護手袋

JIS T8116 化学防護手袋
酸、アルカリ、有機薬品などの化学薬品の汚染から手を保護する手袋。対象とする有害な化学物質を考慮して作業に適した手袋を選択することが重要。

耐切創手袋

国際規格・試験のEN 388:2016(ISO 23388)は、主に耐切創手袋に用いられる規格です。
耐切創繊維(切れにくい機能性繊維)を使用し、手や指を切る切創事故から手を保護する手袋。刃物やガラス・鉄板を扱う作業で使用され、耐切創強度や繊維特性により種類豊富。

耐熱・耐寒手袋

溶接や消火など加熱物を取り扱う作業で、手を高温・熱から保護する耐熱手袋。寒冷な環境でも冷たさを感じず、保温性に優れ高い作業性を実現する耐寒手袋。

溶接・溶断作業時には「保護手袋」を着用しましょう

労働安全衛生法において、「事業者はガスや高温などによる健康障害に対して必要な措置を講じなければいけない」とされています。

また、厚生労働省の「労働安全衛生規則」において、アセチレン溶接装置およびガス集合溶接装置の作業者には保護手袋を着用させることが規定されています。ガス溶接作業主任者は「労働者の保護眼鏡及び保護手袋の使用状況を監視すること」が義務付けられています。そして、健康障害防止のために事業者は「保護衣、保護眼鏡、呼吸用保護具等適切な保護具を備えなければならない」とされています。

労働安全衛生法 第二十条

事業者は、次の危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一 機械、器具その他の設備(以下「機械等」という。)による危険
二 爆発性の物、発火性の物、引火性の物等による危険
三 電気、熱その他のエネルギーによる危険

労働安全衛生法 第二十二条

事業者は、次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一 原材料、ガス、蒸気、粉じん、酸素欠乏空気、病原体等による健康障害
二 放射線、高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧等による健康障害
三 計器監視、精密工作等の作業による健康障害
四 排気、排液又は残さい物による健康障害

出典:労働安全衛生法

労働安全衛生規則 第三百十二条(アセチレン溶接装置の管理等)

事業者は、アセチレン溶接装置を用いて金属の溶接、溶断又は加熱の作業を行なうときは、次に定めるところによらなければならない。
一 発生器(移動式のアセチレン溶接装置の発生器を除く。)の種類、型式、製作所名、毎時平均ガス発生算定量及び一回のカーバイド送給量を発生器室内の見やすい箇所に掲示すること。
二 発生器室には、係員のほかみだりに立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を適当に表示すること。
三 発生器から五メートル以内又は発生器室から三メートル以内の場所では、喫煙、火気の使用又は火花を発するおそれのある行為を禁止し、かつ、その旨を適当に表示すること。
四 導管には、酸素用とアセチレン用との混同を防ぐための措置を講ずること。
五 アセチレン溶接装置の設置場所には、適当な消火設備を備えること。
六 移動式のアセチレン溶接装置の発生器は、高温の場所、通風又は換気の不十分な場所、振動の多い場所等にすえつけないこと。
七 当該作業を行なう者に保護眼鏡及び保護手袋を着用させること。

労働安全衛生規則 第三百十三条(ガス集合溶接装置の管理等)

事業者は、ガス集合溶接装置を用いて金属の溶接、溶断又は加熱の作業を行なうときは、次に定めるところによらなければならない。
一 使用するガスの名称及び最大ガス貯蔵量を、ガス装置室の見やすい箇所に掲示すること。
二 ガスの容器を取り替えるときは、ガス溶接作業主任者に立ち合わせること。
三 ガス装置室には、係員のほかみだりに立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に掲示すること。
四 ガス集合装置から五メートル以内の場所では、喫煙、火気の使用又は火花を発するおそれのある行為を禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に掲示すること。
五 バルブ、コツク等の操作要領及び点検要領をガス装置室の見やすい箇所に掲示すること。
六 導管には、酸素用とガス用との混同を防止するための措置を講ずること。
七 ガス集合装置の設置場所に適当な消火設備を設けること。
八 当該作業を行なう者に保護眼鏡及び保護手袋を着用させること。

労働安全衛生規則 第三百十五条(ガス溶接作業主任者の職務)

事業者は、アセチレン溶接装置を用いて金属の溶接、溶断又は加熱の作業を行なうときは、ガス溶接作業主任者に、次の事項を行なわせなければならない。
一 作業の方法を決定し、作業を指揮すること。
二 アセチレン溶接装置の取扱いに従事する労働者に次の事項を行なわせること。
イ 使用中の発生器に、火花を発するおそれのある工具を使用し、又は衝撃を与えないこと。
ロ アセチレン溶接装置のガス漏れを点検するときは、石けん水を使用する等安全な方法によること。
ハ 発生器の気鐘の上にみだりに物を置かないこと。
ニ 発生器室の出入口の戸を開放しておかないこと。
ホ 移動式のアセチレン溶接装置の発生器にカーバイドを詰め替えるときは、屋外の安全な場所で行なうこと。
ヘ カーバイド罐(かん)を開封するときは、衝撃その他火花を発するおそれのある行為をしないこと。
三 当該作業を開始するときは、アセチレン溶接装置を点検し、かつ、発生器内に空気とアセチレンの混合ガスが存在するときは、これを排除すること。
四 安全器は、作業中、その水位を容易に確かめることができる箇所に置き、かつ、一日一回以上これを点検すること。
五 アセチレン溶接装置内の水の凍結を防ぐために、保温し、又は加温するときは、温水又は蒸気を使用する等安全な方法によること。
六 発生器の使用を休止するときは、その水室の水位を水と残留カーバイドが接触しない状態に保つこと。
七 発生器の修繕、加工、運搬若しくは格納をしようとするとき、又はその使用を継続して休止しようとするときは、アセチレン及びカーバイドを完全に除去すること。
八 カーバイドのかすは、ガスによる危険がなくなるまでかすだめに入れる等安全に処置すること。
九 当該作業に従事する労働者の保護眼鏡及び保護手袋の使用状況を監視すること。
十 ガス溶接作業主任者免許証を携帯すること。

労働安全衛生規則 第三百十六条(ガス溶接作業主任者の職務)

事業者は、ガス集合溶接装置を用いて金属の溶接、溶断又は加熱の作業を行なうときは、ガス溶接作業主任者に次の事項を行なわせなければならない。
一 作業の方法を決定し、作業を指揮すること。
二 ガス集合装置の取扱いに従事する労働者に次の事項を行なわせること。
イ 取り付けるガスの容器の口金及び配管の取付け口に付着している油類、じんあい等を除去すること。
ロ ガスの容器の取替えを行なつたときは、当該容器の口金及び配管の取付け口の部分のガス漏れを点検し、かつ、配管内の当該ガスと空気との混合ガスを排除すること。
ハ ガス漏れを点検するときは、石けん水を使用する等安全な方法によること。
ニ バルブ又はコツクの開閉を静かに行なうこと。
三 ガスの容器の取替えの作業に立ち合うこと。
四 当該作業を開始するときは、ホース、吹管、ホースバンド等の器具を点検し、損傷、摩耗等によりガス又は酸素が漏えいするおそれがあると認めたときは、補修し、又は取り替えること。
五 安全器は、作業中、その機能を容易に確かめることができる箇所に置き、かつ、一日一回以上これを点検すること。
六 当該作業に従事する労働者の保護眼鏡及び保護手袋の使用状況を監視すること。
七 ガス溶接作業主任者免許証を携帯すること。

労働安全衛生規則 第五百九十三条(呼吸用保護具等)

事業者は、著しく暑熱又は寒冷な場所における業務、多量の高熱物体、低温物体又は有害物を取り扱う業務、有害な光線にさらされる業務、ガス、蒸気又は粉じんを発散する有害な場所における業務、病原体による汚染のおそれの著しい業務その他有害な業務においては、当該業務に従事する労働者に使用させるために、保護衣、保護眼鏡、呼吸用保護具等適切な保護具を備えなければならない。

労働安全衛生規則 第五百九十六条(保護具の数等)

事業者は、前三条に規定する保護具については、同時に就業する労働者の人数と同数以上を備え、常時有効かつ清潔に保持しなければならない。

労働安全衛生規則 第五百九十七条(労働者の使用義務)

第五百九十三条から第五百九十五条までに規定する業務に従事する労働者は、事業者から当該業務に必要な保護具の使用を命じられたときは、当該保護具を使用しなければならない。

溶接・溶断作業時には、事業者は適切な保護具を備え、従業員は適切な保護具を着用することが義務付けられていることがわかりました。溶接・溶断作業時の適切な保護具には防じんマスクや顔を覆う保護面などがありますが、保護具の中には「保護手袋」もあります。溶接・溶断作業に特化した溶接用かわ製保護手袋や、耐熱・耐寒手袋などを保護手袋として着用します。

保護手袋についての規格のひとつが「JIS T8113 溶接用かわ製保護手袋」です。

では、JIS規格に定められた「溶接用かわ製保護手袋」とはどんなものなのか、確認していきましょう。

溶接・溶断作業に使われる「溶接用かわ製保護手袋」

日本工業規格のJIS T8113では、溶接・溶断作業において、火花・溶融金属・熱せられた金属などが手に直接接触することによる傷害を防止するために使用する溶接作業用かわ製保護手袋について規定しています。
手袋の種類は材料、形状及び用途により区別されており、1種は牛革を掌部と甲部に使用し、主にアーク溶接用です。2種は牛床革を使用し、主にガス溶接・溶断用です。いずれもそで部は牛床革を使用することとされています。そのほか、構造、寸法などについても規定があります。
種類

材料
形状
用途
1種
1号
掌部及び甲部……牛かわ そで部……牛床かわ
2本指
主としてアーク溶接用
2号
3本指
3号
5本指
2種
1号
掌部及び甲部……牛床かわ そで部……牛床かわ
2本指
主としてガス溶接、溶断用
2号
3本指
3号
5本指
試験では、以下のような試験を行います。

  • 構造試験:手袋の構造、寸法および厚さについて目視により規定に適合しているか調べます
  • 引張強さ・伸び試験、引裂強さ試験、脂肪分試験、クロム含有量試験、縫い糸の引張強さ試験

そしてJIS規格の基準をクリアしたものが、適合品として認証されます。
アーク溶接・溶断
オマケ 1
溶接と溶断の違い
をご存知でしょうか。

溶接とは、接合部に熱や圧力を加えて、部材を接合する加工のことです。
方法:アーク溶接、ガス溶接、ろう付、はんだ付

溶断とは金属に熱を加えて、切断する加工のことです。
方法:アーク溶断、ガス溶断

アーク溶接・溶断には電気を使用し、ガス溶接・溶断にはガスを使用します。
ガス溶接・溶断
オマケ 2
床(とこ)かわとは、皮の銀面を取り除いた「内側の層の部分」
のことです。

出典:独立行政法人国民生活センター

溶接用かわ製保護手袋のJIS規格と法律、いかがでしたか?

規格を知ると、手袋に表示されたマークをしっかり確認できるようになりますし、購入するときに手袋を比較して選べるようになります。防護手袋はしっかりと安全性能が確認されたものを使用したいものですね。

クロスワーカーでは使用目的に応じた防護手袋を多種多様に揃えています。法人さまの購入ご相談はメールで承っておりますので、お気軽にお問い合わせください♪

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